“The Youthful Mind” 若々しい気持ち

Message from ラッセル・エルワンガー  – タワージャズ最高経営責任者& TPSCo会長

 

祖父であることは楽しいものです。子どもが成長し、世の中のことがわかりはじめ、才能や可能性がどんどん花開いていくのを見るのは、素晴らしい驚きの連続です。 子どもたちの目の前には、刺激的な新しい世界が無限に広がっています。そして、この何にも制限されることのない自由な気分がどんなものなのか、今の私には数十年前に比べてずっと良くわかります。子どもたちは経験に妨げられることも、限界を認識することもありません。彼らにとってはすべてが冒険です。どのような歩みにも学びがあり、毎日が前向きで晴れ晴れとしています。世界をその単純化した美しさの中で楽しみながら、遊びと夢見ることを通じて学んでいく、なんとワクワクすることでしょう。 

「自分にとって思い出が夢よりも大切になったとき、人は年を取るのだ。」とは、ビル・クリントン氏の言葉です。この言葉には真実があります。しかし、すべてではありません。私が思うに、「思い出が夢より、そしてその後に続く行動よりも大切になったとき、老いがやってくる」のではないでしょうか。夢とそれを追い求める行動は外積のように作用します。見るだけで行動が伴わない夢は、子どもじみたものにすぎません。しかし、能力に裏打ちされた決断や行動が、若さならではの活力や無限性と一緒になれば、どのような夢も実現できるでしょう。大きな夢や高い志を持ち、それらの実現に向け果敢に行動を起こし、前に進もうという人は、年齢に関係なく「若い」人です。結果として、このように気持ちが若々しい人は周囲を元気にし、どのような状況にもあきらめず前向きに取り組みます。

こうした気持ちの若さこそ、科学や技術の革新や、ビジネスの成長、社会や環境の問題解決の原動力です。彼らの熱意、夢や大志、そして目的意識をもった前向きな行動は常に人生を面白くします。言い換えれば、企業のリーダーたちが夢を見ること、前に進むことを止め、あれこれと過去にこだわりはじめた瞬間に、会社は衰退に向かう「老化ステージ」に突入してしまいます。 

私は、以前の会社で社長が交代したとき、企業文化が変わっていくのと平行して「老化」の現象が起こりうることを目の当たりにしました。様々な変化のなかで最初に表面化したのは、それまで従業員に求められ、表彰の対象であり、リーダーが実践していた、会社が「優れている」としてきた個人の特性が変わったことでした。前社長は新しいアイデアや現状の打破を重要視しこそすれ、それらを恐れることはありませんでした。彼のこうした姿勢が、技術部門から人事や営業、ビジネスモデルにいたるまで、会社のあらゆる面に革新と期待感をもたらしていたのです。しかし彼が去った途端、会社は「老化」の兆候を見せはじめました。多額の買収にもかかわらず、成長と収益性は停滞しました。主要スタッフの間ではもっぱら、「前の社長の時代は良かったな」という話題が持ち上がるようになりました。そして、再び会社に若返りの兆しが見られるようになるまでに13年の月日と新たなリーダーを要することになったのです。同じ会社でまだ働いている元同僚と話をすると、それがわかります。株主の皆さんにとっては、時価総額の増加がその表れでしょう。

個人的な昔の実績に執着するばかりで過去に生きる人は退屈な人です。逆に、過去の実績を踏まえ、休むことなく更なる高みを追求する人は魅力的で私たちの心を捉えます。そうした人は喜びと成就のお手本です。これは、企業についても同じことではないでしょうか。

タワージャズという会社には、価値観に基づいた夢と高い志があると同時に、大変有能で熱意のあるスタッフがいます。私たちは常に行動し、判断し、前に進んでいます。リーダーシップと学びが持ちつ持たれつの関係であることは明らかです。お互いに有益な夢を追求し、それらを機会という振るいにかけて成功へと導きながら、皆さんや信頼できるお客様と共に学び、価値を創出し、「若さ」を保つことに私たちは常に喜びを感じます。私は63歳になりましたが、今ほど自分を若いと感じたことはありません。 この会社は、財務的・地理的な業務拡大、社員の皆さんのスキルと情熱という面で業界を成長させてきました。さらに肝心なことに、フリーキャッシュフローを着実に増加させ、価値あるものに投資できる状況にあります。そんな会社を率いることは、40年の業界経験を経てなお新しい夢を実現しようという前向きで若々しい興奮と高い志を、常に私の中に芽生えさせてくれます。そして、価値を共にするお客様のために夢を収斂し続ければ、より多くの道が開けます。他の人なら夢見ることをしないであろう機会をウィンウィンの現実に変えるために、私たちは絶えず力を尽くしています。シンガーソングライターのキャロル・キングの歌に「私にはまだ見ぬ夢がたくさんあるの」という一節がありますが、私たちが選んできた道と作ってきた企業文化は、それらがきっと見つかると約束してくれるでしょう!

最後に、私の思いを最もよく表してくれるロバート・ケネディ上院議員の言葉を紹介しましょう。「この世界は真の意味での若さを求めている。若さとは人生のある時期のことをいうのではない。心の状態をいうのだ。旺盛な意欲、豊かな創造力、臆病さに負けない勇気、安楽な生活に勝る冒険心、こうした心を持ち続けることが若さなのだ。」

お読みいただきありがとうございます。